小さな笠山の大きな魅力

 萩市街地の北の方向に、日本海に突き出すように見える笠山は、標高112mの本当に小さな日本でも最小クラスの火山です。(上の写真では右に写っています。)

 まず、笠山がどのような火山活動によって誕生したかを紹介していきます。約11,000年前、この一帯は陸地でした。笠山の噴火により大量の溶岩が広範囲に流れ出し、安山岩の溶岩台地ができ、その上にさらに溶岩が流れては固まることを繰り返し土台ができあがりました。

約8,800年前になると、溶岩流を噴出させる噴火からストロンボリ式噴火に変化します。これはマグマのしぶきが噴き上がって降り積もっていくもので、これにより丘(スコリア丘)ができました。最後に、その上にさらに小さなスコリア丘ができ、噴火活動を終えました。

簡単に説明しなおすと、平たく広い溶岩台地ができ、その上に二段重ねのスコリア丘ができたことにより、離れたところから見ると中央部が盛り上がり、市女笠(いちめがさ)のような形となったというわけです。

ということでフィールドに出てみると、その溶岩の違いが一目で分かります。笠山周囲の海岸に立つと、黒いごつごつした岩に覆われています。溶岩の外側と内側で流れる速さが異なるので、縄状のしわができたり、溶岩が表面を流れる際にその両岸が冷え固まって壁状の溶岩堤防ができたりと、視点を変えると溶岩の様々な表情を見ることができるそうです。私はまだ勉強不足だな。

一方、中央部の火口周辺は赤い石に覆われています。スコリアと呼ばれる石は、マグマのしぶきからガスが抜けた軽石だそうで、酸化により赤くなったものです。持ち帰ることはできませんが、手のひらにのせて写真を撮ってみました。

こちらは展望台から沖に浮かぶ萩六島を撮影したものです。これ以上ワイドにならず残念ですが、向かって右から大島・櫃島・肥島・尾島・羽島・相島といいます。なんだか平べったい島々だと思いませんか。この独特な景色も萩の魅力のひとつです。これらの島々は、実は21万年前から6万年前にかけて次々に噴火により誕生した火山なのです。笠山と同様に安山岩による溶岩台地ですが、ふつう安山岩のマグマは粘り気が強いので溶岩台地を作ることは稀で、日本はもとより世界でもほとんど類を見ないそうです。ご覧ください、本当に平たんな島々ですよね。

萩六島は笠山のきょうだいということで「阿武火山群」の仲間となっていますが、驚くなかれ阿武火山群は約50ヶ所もの火山の集まりなのです。これらは1ヶ所で1度だけ噴火するというのが特徴の火山群で、萩市周辺の日本海と内陸部に点在しています。こうした火山について、約1億年前からのマグマの活動による大地形成の変遷については、「萩ジオパーク」という切り口で別な機会にまとめることにして、ここでは説明は控えることにします。

話を戻して、約8,800年前に火山活動が終息した後、約7,000から5,500年前にかけて「縄文海進」…氷河期が終わって海面がぐっと上昇したことにより、笠山は島となります。その後、砂州が形成されて陸地とつながり現在の姿となりました。笠山の入り口にある明神池は、陸とつながる時に海が取り残された部分であり、山中の崩れた溶岩の間にできた空間にたまった冷気が流れ出す風穴(かざあな)は初夏から夏の涼スポットとしておすすめです。

はじめに記述のとおり、標高112mの小さな火山「笠山」ですが、そのマグマの活動の歴史を知ると、大きな魅力を持つ場所だと感じずにはいられません。日本海に浮かぶ美しい島々の景色を楽しみながら訪れてほしいものです。

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